【純粋機械化経済:井上智洋著】を読む 1

【純粋機械化経済】井上智洋著:日本経済新聞出版社

【純粋機械化経済 頭脳資本主義と日本の没落】井上智洋著:日本経済新聞出版社(右写真)を読みました。

※ 実は、まだ最後まで読んでいません。〈500ページ近い大著です〉

300ページほど読んだのですが、その範囲内で印象に残ったくだりを紹介します。

… そもそも人間の根源的な価値は、自由意思を持っていることや自分で意思決定できること、役に立つ仕事ができることなどにはない。
人間の価値はその能動性にではなく受動性にある。悲しんだり喜んだり、痛みを感じたりすること、つまりクオリアを持つことにこそ人間(生命)の価値がある。機械が人間の知性を追い越すことがあったとしても、人間に価値があることには変わりない。 … P173
※ クオリア:人間が主観的に体験し得る感覚

… 頭脳資本主義においては、頭脳を振り絞って稼ぎまくるか、そうでなければ頭脳を使わずに体をほどほどに動かす安い賃金の労働に甘んじるしかない。その中間くらいのほどよい生活は営み難い。アベレージ・イズ・オーバー。「平均は終わった」のである。 … P195

… ハンガリー生まれの経済学者ティボール・シトフスキーは、消費者は快適をもたらす商品を買い過ぎて、喜びをもたらす商品を買わな過ぎると指摘している。
行動経済学は、欲望の充足がそれほど幸福につながらないことを示している。それを初めに体系的に論じたのは仏教だろう。仏教に遅れること2500年、ようやく科学は欲望の充足と幸福とのずれを見出した。 … P296

まだ読んでいない残りの部分につきましては、後日紹介します。

本書【純粋機械化経済 頭脳資本主義と日本の没落】は、経済についての専門的なことも書かれています。

そのような箇所を読み飛ばしても、十分におもしろく読める本です。

ちなみに著者:井上智洋氏は駒澤大学経済学部准教授で、本の値段は、2,300円〈税別〉です。