草が伸び、境界標〈コンクリート杭〉が見えなくなってしまいました。
※ 境界標 … 隣の土地との境界の目印
その境界標は、3mほどの高さの崖の上にあります。(右写真)
境界標が見える方が、木の伐採や除草などの作業をするとき、何かと便利ですので、伸びた草を刈り取ることにしました。
4mほどの長さのはしごを崖に何回もかけ直し、上ったり下りたりしながら草を刈り取っていきました。
1時間半ほどかかったでしょうか、刈り終わって一休みしていると、隣家の主がやって来ました。
「あんた、えらいきれいにしたな。高いとこ〈ところを〉、上ったり下りたりしてたいへんやったろ。 … … わしんとこ〈私のところ〉は、まだ草〈が〉生えたままや。 … かっこつかんし〈恰好がつかないし〉、わしも、今から草〈を〉刈って、きれいにするわ … 。」
と言いだしました。
※ 隣家の主は90歳。
「〇〇さん、いくら元気でも、万一はしごから落ちたらたいへんなことになるわ。 … … 明日、私の方でしとくわ〈しておきますよ〉。」
と言うと、恐縮した様子で帰って行きました。
「最初から隣家のぶんの草も刈っておけばよかったな」と反省しました。
〈隣家のぶんの草なら20分程度で刈れたのに … 〉
と同時に、
” いったい自分はいつまではしごに上れるのだろうか ”
と思ったのでした。