ここ一週間ほど悪天候が続き、ほとんど屋内で活動しています。
で、本を2冊読みましたので、印象に残ったくだりをそれぞれ一箇所ずつ紹介します。
【アメリカ彦蔵】吉村昭著:読売新聞社(右写真) P438~439より
… 彦蔵は、髪に白いものがまじり、顔面神経痛におかされて片側の頬がけいれんして口もとがゆがむようになった。 … … 彦蔵は洋服を排して、毎日着物を着て正座して日を過ごすようになり、筆を手にして一心に習字にはげんだ。日本には、外国にはない美しい伝統があり、日本人として自分もそれに従わねばならぬ、と心から思った。アメリカに帰化した身ではあったが、かれは折りを見て日本国籍を得たいと念じていた。 …
※ 彦蔵について
13歳のときに炊事係として廻船の乗組員となる。が、船が遭難し、漂流民となる。運よくアメリカ船に救われ、アメリカに行く。そこで、好意あるアメリカ人の世話になり、教育も受けることとなる。
ときは幕末。アメリカに帰化した彦蔵は身に付けた英語を生かし、アメリカと日本のパイプ役の一人として活躍。
上記に紹介したくだりは、彦蔵が第一線を退いた後の様子。
【フロー体験 喜びの現象学】M.チクセントミハイ著・今村浩明訳:世界思想社(右上写真) P216より
… 年齢とともに身体的活力が衰える場合、それは自分のエネルギーを外的世界の支配から内的現実に対するより深い探索に向ける準備ができることを意味している。それは人がついに――追求する価値があると心に決めたものであるならば――プルースト〔フランスの心理小説家〕を読み、チェスを始め、ランを育て、隣人に手を貸し、神について考えることができるようになったということを意味する。しかし若い頃に、孤独を進歩のために利用する習慣を獲得していない限りこれらのいずれを達成することも難しい。
この習慣は早くから育てることが最も望ましい。しかし、そうするのに遅すぎるということはない。 …
上記のくだりがとくに印象に残ったということは、
そこに、今の私の心境に通じるものがあるんでしょうな。