道路傍の畑で草むしりをしていると、1台の車が止まりました。(右写真)
降りてきたのは、かつて数年間職場を共にした男でした。
〈彼はこの春定年退職しました〉
「〇〇さん〈私のこと〉、がんばっていますね。 … こんなに広いと手入れもたいへんでしょう … 。」
「いやー、好きでやっていますんでけっこう楽しいですよ。 … ところで今日はどうしたんですか。雇用延長はしなかったんですか … 。」
「… しませんでした。米作りに専念することにしました。」
「そんなに田んぼがあるんですか。」
「いや、自分の家の田んぼは少ししかなく、大半は借りている田んぼです。 … 合わせると4町歩近くになります。」
「そりゃーたいへんですな。 … 機械代だけでも相当かかるでしょう。」
「田植え機やコンバインなどは、今までに自分の家で使っていたものを修理しながら使い、極力出費を抑えています。 … 借りている田んぼも小さい田んぼばかりですので、それでちょうど間に合います。」
「でも、小さい田んぼは効率が悪いでしょう。」
「確かに。 … で、作り手がいないのが現状です … … 。」
「ええ! … じゃーそれって … … … 。」
ボランティアのボの字も感じさせずに黙々と行動している人の前で、
無所属の時間を過ごしているジイサンは言葉を失ってしまったのでした。