【日本語のために】丸谷才一著 を読む

【日本語のために】丸谷才一著:新潮社

終日雨でした。

プレハブに籠り、本を読んでいました。

読んだのは、【日本語のために】丸谷才一著:新潮社(右写真) … 以下、印象に残ったくだりを紹介します。

 

… … 口語文には、文語文という骨格がとほつてゐる。とすれば、子供に文語文を読ませることの重要性は至つて明らかな話になろう。それが日本語の文体をすこやかにし、美しく保つための、基本的な手段なのである。国語は常に古典主義によつて養われてゐなければならない。 … P38

… 日本自然主義と私小説とは、無教養を恥とせずにかへつて誇るような奇怪な文学風土を作りあげたのだが、これは現代文学と古典主義との関係をますます薄くさせたし、現代文体をますます放恣なものにする大きな一因となつてゐるからである。 … P77~78

… 漢字というのは一字一字が意味概念を持つてゐるから、その組み合わせによる新語と出会つても類推がきく。 … P122

… 本来、一文明にとつて、その国語の最上の教師は、文学者であるはずなのだ。かういうことは、藤原定家にとつても、芭蕉にとつても、森鷗外にとつても自明のことだつたろう。しかし志賀〈直哉〉に至つて、文学者は国語の教師であることをやめ、さらには日本語をフランス語にかえようなどと、自分の生存の根拠を否定する説を吐くことになつたのである。 … P207

… われわれはあくまでも自分自身の精神と感覚のための貴重な道具として、日本語を大事にしなければならない。 … P208

 

二十歳頃のときに当著書を一度読んでいます。

正確な日本語を話したり書いたりする人間になりたいと思っていました。

あれから45年 … 結果は … … … 。

が、気持ちは当時とまったく変わりません。

読み書きをする体力がある限り、今後も日々精進したいと思っています。

 

今回再読し、著者〈丸谷氏〉の日本語を大事にしようという熱い思いを改めて知るところとなりました。

なお、著者の考え方や人柄等について、彼に近しかった川本三郎氏〈評論家〉が、氏の著書【そして、人生は続く:平凡社】〈P272~276〉で書いています。