爆音が聞こえなくなるまで

友人からもらった柿

昼食後、イチゴ畑を整理していたときでした。

爆音を響かせてでかいバイク〈ヤマハ1300〉が近づいて来ました。

木立前に止まり、ごついヘルメットを脱ぐと、何と友人でした。

 

「久しぶりやのお。元気やったか。 … 畑に柿が生っとたし、持ってきたんや。 … 明日都会のほうへ戻るけど、次に帰る〈帰省する〉のは11月の下旬になりそうんなんや。で、そん〈その〉ときまで〈捥がないで〉置いといたら、カラスに食べられてしもうわ … 。」

「いつもありがとう。 … 家の手入れは進んだか?」

※ 彼〈友人〉は都会に住んでいて、田舎にある実家は空き家同然。
で、定期的に帰省し、家の手入れをしています。
そして、時間に余裕があれば、今日のように寄ってくれます。

「ボチボチや。 … ところで、おまえテレビに出たんやて?」

「何で知っとるんや。」

「〈田舎の〉近所の者が言うとったんや。 … 一躍有名人やのお。」

「ホントに恥ずかしいわ。」

 

あれこれ1時間ほど話したでしょうか。

〈彼は時計を見ながら〉
「あれっ、もうこんな時間か。お茶を一杯だけ飲むつもりで寄ったんやったけど。 … 仕事のじゃまをしてしもうたのお。 … ほんなら、11月の下旬にまた寄らしてもろうわ。」

と言い、帰って行きました。

 

彼の姿が見えなくなっても、爆音が聞こえなくなるまでずっと見送っていました。