
トウモロコシとインゲン豆の種をポットに植え終わり、後片付けをしていると、知人が訪ねて来ました。
ふたを被せた青いポリバケツを手に持って。
私の前まで来てそのふたを取り外しました。
磯の香りが漂ってきました。
「今、実家から帰って来たとこ〈ろ〉や。〈実家の〉近くの海で採ったワカメを持ってきたわ。 … 水洗いして湯掻いたら青〈く〉なるし、あとは好きなようにして食べたらええわ。」
「ありがとう。晩飯の最高のおかずになりそうや。」
※ 彼〈知人〉は漁業権を有しています。〈念のため〉
彼が生まれ育ったのは、能登半島北部の海辺近く。
昨年の元日の大地震と秋の大雨で実家〈空家でした〉が傾いてしまい、先日解体し終わったとのこと。
今や残っているのは、更地になった宅地と墓、そして、わずかな田畑と山林 … 。
今日は、墓を見に行った帰りに私のところに寄ったらしい。
「〇〇さん〈知人のこと〉、たとえ住むつもりはなかったとはいえ、生まれ育った家がなくなると寂しいでしょう。」
「 … うーん、どう言ったらいいか。 … 今日行ったときは海からの風がえらい強うて、今までなら家があってそれを遮ってくれたんやけど、もう遮ってくれるものは何にもなかったんや。風に吹かれるままに突っ立ってただ海を眺めとるだけやった。 … 寂しいというより虚しいといった感じやったかのおー。」