今日も終日雨。
久々に本を読みました。
【愛読の方法】前田英樹著:ちくま新書(右写真)から、印象に残ったくだりを紹介します。
… 愛読という行為は、その方向の中でこそ育ち、熟していく。これは特殊な才に恵まれた人間にだけ許された行為では決してない。文字が読めるなら、だれにも開かれた路であり、文字による教育の一番大切な目的は、この路の入口へと、子どもたちをはっきり導くことではないのか。本による教育は、得をするため、誰かに勝つため、空威張りして鼻つまみ者になるためにあるのではない。人間として生きる意味とは何かを、時流に乗ぜられることのない喜びのなかで、喜びそのものとして知るためにある。 …P78~79
… 愛読書に出会うことは、自己を発見することとまったく変わりがない。が、烈しく求める心が、いつも深く動いているのなら、人は必ず愛読書に出会う。本は向こうからやって来てくれると言ってもいい。 …
P96
前田氏の著書を読むうちに、 ” 愛読 ” にかかわり、2人の方が以下のように言っていたことを思い出しました。
… 【こころ】〈夏目漱石著〉は繰り返し人生の季節季節にじっくり読んで、自分の人生の位置というものを確認できる本です。地味だから今の読者がどう受け止めるかということが気になりますけれども、最近の小説は動きの大きいものを追っかけたり、荒っぽいというと変だけれども、性格の濃いものをぶつけ合うというようなものが多いので、これはよほど落ち着いた気持ちになって読まないと。 …
〈城山三郎氏の談話から〉
【人生に二度読む本】城山三郎・平岩外四著:講談社 P13より
… 中年以上になったら、新たな本よりも、過去に読んだ本の読み直しをすすめます。
小説にしろ評論にしろ、中年以降に新たな感動や刺激を書籍に求めても、たんなるひまつぶしで終わってしまいかねません。それより、自分を揺るがす知的体験を与えてくれた本をあらためて賞味してみるのです。
わたしの体験からいえば、くり返し読みたくなる本は二冊か三冊あれば十分です。
そういう本をたまに開いてしばらく読んでは思考に遊ぶ。時を置いてまた読んで思考を深める。味読と独自思考を繰り返します。 …
【人生二毛作のすすめ】外山滋比古著 飛鳥新社 P125より