【日本の未来へ】梅棹忠夫編著:NHK出版(右写真)を読む。
内容の大半は、司馬遼太郎氏と梅棹忠夫氏の対談である。
古いもので50年以上前、新しいもので30年前の対談が載せられている。
〈司馬氏が亡くなったのは26年前の1996年〉
が、中味は古さを全く感じさせない。
紹介したいくだりはたくさんあるが、現在問題になっているロシアとウクライナについて語っている箇所があったので、それを紹介する。
司馬氏
「 … … ソ連が崩壊して、ようやくロシア人の誇りを高らかにうたえるようになった。そうすると今度は、ウクライナの人たちがおれたちはロシア人じゃなくて、そのもとになったルーシーであると主張する。モスクワの連中には、あれはタタールが半分入っていて、顔を見てもわかるだろう。かれらは純粋のルーシーじゃないというわけです。なるほどそう言われてみると、エリツィンもタタールの顔をしていますね。」
梅棹氏
「ウクライナはやっぱり大ロシアのもとなんですよ。ウクライナの首府のキエフはドニエプルの川のほとりにできた街ですけど、そのドニエプルに面して、キエフ国家に大発展をもたらしたウラジミール大公の巨大な像が建っているんです。そこからずっと北へ入っていく。ロシアの文明は南のキエフ大公国から来ている。それが大ロシアのもとだという意識が彼らには明らかにあります。」
司馬氏
「一人の人間が自分が属する民族を意識するとき、、決して心安らかじゃありませんね。ただのお父さんやお母さんでなくなってしまう。民族としての優越性か、劣弱感か、どちらかに上下してしまう。時にはテロにもなる。 … … 」
P46~47
30年前になされた対談である。
残念ながら二人はもういない。
〈梅棹氏が亡くなったのは10年前の2010年〉
ロシアとウクライナの関係 … うまく収まることを願う次第です。