
【本居宣長】小林秀雄著:新潮社(右写真)を読み、とくに印象に残った箇所を紹介します。
以下、著者が考えを述べるに当たって引用した本居宣長の文章です。
〈直毘靈:なおびのみたま より〉
… … 御國にて上古、かゝる儒佛等のごとき説をいまだきかぬ以前には、さやうのこざかしき心なき故に、たゞ死ねればよみの國へ行物とのみ思ひて、かなしむより他の心なく、これを疑ふ人も候はず、理屈を考る人も候はざりし也。さて其よみの國は、きたなくあしき所に候へ共、死ねれば必ゆかねばならぬ事に候故に、此世に死ぬるほどかなしき事は候はぬ也、然るに儒や佛は、さばかり至てかなしき事を、かなしむまじき事のようにいろいろと理屈を申すは、眞實の道にあらざる事、明らけし … P590
以下、本居宣長の思い〈上記〉に対する著者の考えです。
… 世をわたらふ上での安心といふ問題は、「生死の安心」に極まる、と宣長は見てゐる。他の事では兎もあれ、「生死の安心」だけは、納得づくで、手に入れたい、これが、千人萬人の思ひである。 … … 宣長の言ひ方に従へば、もし神道の安心を言ふなら、安心なきが安心、とでも言ふべき逆説が現れるのは、必至なのだ。更に、彼の意を汲めば、これから目を逸らす理由が、どこにあるか、と問ふ。これに直面して、これに堪えるのが、神道の内部に踏み込むといふ事に他ならない。神道への入り口は、他にはない、と言ひ切る。 … P591
という具合に、当著書では、607ページにわたり、本居宣長の書いたもの〈紫文要領、直毘靈、古事記傳など〉が逐一引用され、それらについての著者〈小林秀雄〉の考えが述べられている。
何度も言うけど、文語文、旧仮名遣い、旧漢字オンパレードといった感じで、ホントに読みづらい。
けど、内容は刺激に満ちていてとてもおもしろいのです。
〈だから曲がりなりにも最後まで読めたんですな〉
本居宣長だけではなく、賀茂真淵や契沖などの日本を思う気持ちがよく伝わってきました。
それらすばらしい先達を持ったことを誇りに思っています。
いよいよ衆院選。
議員のみなさまはお忙しく、読書の時間もままならないと思われますが、
『ほんとうのまつりごと』をするには、
小林秀雄の【本居宣長】は、読んで無駄はないような気がします。
〈僭越で申し訳ありません〉
私自身、心身の健康なうちに、少なくともあと2回は読みたいと思っています。
