
【100分de名著 太平記】安田登著:NHK出版(右写真)を読んでの感想を述べます。
高校生のとき、古文、漢文を習ったのですが、不勉強だったせいか、太平記は記憶にありません。
ただ、太平記という物語があることは知っていました。
著者〈安田登氏〉が言うには、
… 戦時下に忠君愛国の広告塔として喧伝された反動からか、戦後になると『太平記』はあまり読まれなくなりました。全40巻と長大なことも、読まれなくなった原因の一つでしょう。 … P5
とのこと。
で、【100分de名著 太平記】を読んだのですが、150ページほどの間に、太平記のエキスが詰まっているというような本でした。
要所要所に著者の豊富な知識に裏付けされた解釈や思いなども散りばめられ、そのことが読む者の理解を大いに促してくれました。
あれよあれよという間に読み終わってしまいました。
太平記を読むには最適な入門書だと思います。
とくに印象に残った箇所は、吉野の御所で光厳法王と御村上天皇が対面した場面での光厳法王のお言葉です。
… 早晩〈いつか〉山深き栖〈すみか〉に雲を伴ひ松を隣〈となり〉として、心安く生涯をも暮すべきと、心に懸けてこれを念じこれを思ひしところに … P108
… いつか奥山の住居で雲を友とし松を隣人として、心安らかに暮したいものだと、心から念願しておりましたところ … 〈著者現代語訳より〉
600年以上も前の政〈まつりごと〉の最高位にあった方のお言葉です。
日本人の心の底流を流れているものを垣間見たようです。
古典を読みたいという気持ちがいっそう強まりました。
