【西行】高橋英夫著:岩波新書(右写真)を読み、印象に残ったくだりを紹介します。
… 出家遁世は西行という人間の出発点であり、そこで何かが解決され、、終了したのではなかった。悩みは出家によってさらに拡がり、生涯背負ってゆくことになった。世捨ては、武門出身の若き官人佐藤義清の苦悩を断ち切る筈だったが、断ち切った途端に問題は増大していった。 … P54
… 仏教思想上の無方向性とみえるものは、西行の内部では「心」の一元論に置き換えられてゆくものとして存在していた。一元的にすべては「心」にかかわっているのだ。 … P73
… ただ安易に自由人西行と言うべきではあるまい。その自由の中で西行がとらわれていたものがある。「心」である。 … P136
… 〈西行の〉心をじっと見つめる悲しさ、危うさは、鏡の中にもう一人の自分を見出し、そこにもう一つの自分があることに拘泥するのに似ている。 … P166
… 西行の「心」への拘泥ぶり、語法表現の中に時としてまざる平俗調、畳語のしつこさ、字余り――—これらを〈藤原〉俊成は異風と見ていたし、西行も異風によって生きるおのれを知っていた。知っていた以上に、自負していた。 …P189
文中のいたるところに「悩み」や「心」という言葉が見られました。
「西行」 = 「悩み」「心」 の感さえ抱くほどです。
と同時に、
先日読んだ【西行:白洲正子著】に、 … 内面を告白した歌が多く、 … 直接自分の心と向き合って煩悶する … というくだりがあったことを思い出しました。
※ 詳細につきましては、2月18日付ブログ記事『【西行:白洲正子著】を読み始めて2日目』をご覧ください。
今回の高橋氏の、そして、先日の白洲氏の【西行】から、西行の内面に関心を持つようになりました。
〈以前は、むしろ彼の行動面に関心がありました。〉
今後、西行に関する他の本も読みたく思っています。
… 文語体の歌が読めた方がいいですな! …