【歎異抄】を読んでいたら

【歎異抄をひらく】高森顕徹著:1万年堂出版

荒天及び積雪により野外作業不可。

で、プレハブで【歎異抄〈たんにしょう〉】(右写真)を読んでいると〈【徒然草】はしばらくお休みにします〉、親戚から昼食の弁当の差し入れが。

「近くの店に来たついでに寄ってみたんや。 … ところで、おまえの友だちの〇〇君のお父さんが亡くなったの知っとるんやろな … 。」

… … …

 

親戚が帰ると、すぐに友人に電話をしました。

「 … … 先月末に死んで、もう葬式も終っとるんや。 … おまえに言おうか、言わんとこうか迷うて、結局言わんかったんや … 。」

 

昼食を食べた後、彼〈友人〉の家へ行きました。

仏壇横に置かれた彼のお父さんの遺影と向かい合うと、まだ学生だった夏の頃のことが瞼に浮かんできました。

座敷で彼と話をしていたとき、お父さんが出て来て自らお茶を入れてくれ、入れ終わると、私たちの話に加わることもなく静かに戻って行きました。

そのときに飲んだお茶のおいしかったことといったら。

そしてお茶を入れていたときのうれしそうなやさしい眼差しが、遺影の眼差しと重なって思い出されました。

 

彼のお父さんも、彼も、そして私も、真宗の門徒 … 。

真宗の教えが書かれた【歎異抄】を読んでいるちょうどそのとき、今回の訃報を知ったことに 何かの ” 縁 ” を感じています。

ご冥福をお祈りいたします。

【徒然草】に囲まれて 4

伐採木を覆っていた雪も徐々に消えてきたようです。 … 明後日あたりから伐採木処理作業の再開ができそうですな。

積雪ゆえ野外作業不可。

本日も室内にて大半を読書で過ごす。

 

【徒然草】ちくま学芸文庫〈前々回ブログ記事に掲載の写真を参照〉を、原文を除いて最後まで読みました。

とくに印象に残った箇所を紹介します。

第241段より
… … … 所願〈しょぐわん〉を成〈じょう〉じて後〈のち〉、暇〈いとま〉有〈あ〉りて道に向かわんとせば、所願尽くべからず。如幻〈にょげん〉の生〈しょう〉の中〈うち〉に、何事〈なにごと〉をかなさん。すべて、所願、皆、妄想〈まうざう〉なり。所願、心に来〈きた〉らば、妄心〈まうしん〉、迷乱〈めいらん〉すと知りて、一事〈いちじ〉を成〈な〉すべからず。直〈ただ〉ちに、万事〈ばんじ〉を放下〈ほうげ〉して、道に向かふ時、障〈さは〉り無〈な〉く、所作〈しょさ〉無〈な〉くて、心身〈しんじん〉、長く静かなり。 …

〈島内裕子氏の〉『訳』
… … … さまざまな願い事を成し遂げて、暇ができてから仏道に向かおうとしても、それは不可能である。なぜなら、いつまでたっても、願望は尽きることがないからだ。幻の如き人生の中で、いったい何をしようとするのか。すべての願望は、妄想である。願望が心に浮かんできたら、妄心が迷い乱れていると知って、一つの願望も叶えてはならない。すぐにすべてのことを放擲して、自分自身の真実の生き方に正面から向かえば、もはや何も障害となるものはなくなり、無用な行為もなくなり、心身ともに、末永く静かな安定した状態になれるのである。
P466~P468

 

兼好のいう ” 道 ” は、私にとって ” 木立の手入れ ” になると考えています。

彼のように遁世までには至らない身ですが、彼が【徒然草】で言おうとしたことを心の糧に、 ” 自分の道 ” を歩んでいきたいと思っています。

 

【徒然草】に浸っているうちに、外の雪もだんだん消えてきたようです。

明後日あたりから野外作業が再開できそうですな。(右上写真)

今日もいい一日でした。

【徒然草】に囲まれて 3

薪ストーブのそばでじっくり読書をしました。〈プレハブ内〉

積雪多々ゆえ屋外作業不可。

プレハブにて、ブログ記事の作成及び投稿、ユーチューブ視聴、読書等で終日を過ごす。

大半は読書。

 

一昨昨日に買った【徒然草】ちくま学芸文庫〈前回ブログ記事掲載の写真を参照〉の45~153段を読みました。
〈原文でなく、ほとんどが『訳』と『評』ですが。〉

とくに印象に残った箇所を紹介します。

第139段より
… 家に有〈あ〉りたき木は、松・桜。 … … …
草は、山吹〈やまぶき〉・藤〈ふじ〉・杜若〈かきつばた〉・撫子〈なでしこ〉。池には、蓮〈はちす〉。秋の草は、荻〈をぎ〉・薄〈すすき〉・桔梗〈きちかう〉・萩〈はぎ〉・女郎花〈をみなへし〉・藤袴〈ふじばかま〉・紫苑〈しをに〉、吾亦紅〈われもかう〉・刈萱〈かるかや〉・龍胆〈りんだう〉・菊。黄菊〈きぎく〉も。蔦〈つた〉・葛〈くず〉・朝顔〈あさがほ〉、いづれも、いと高からず、ささやかなる垣に、繁〈しげ〉からぬ、良し。この外〈ほか〉の世〈よ〉に稀〈まれ〉なる物〈もの〉、唐〈から〉めきたる名の聞き悪〈にく〉く、花も見慣れぬなど、いと懐かしからず。
大方〈おほかた〉、何〈なに〉も、珍しく有〈あ〉り難〈がた〉き物は、良からぬ人の、もて興〈きょう〉ずる物なり。然様〈さよう〉の物、無〈な〉くて有〈あ〉りなん。 …
P280~281

 

日々手入れをしている木立のことになりますが、昨秋から先日にかけて、杉やアテなど37本の木を伐採しました。

そして、近いうちに新たに20本の杉を伐採する予定でいます。

合わせると、けっこう広い伐採跡地ができます。

で、そこに何を植えようか、あれこれ思案している最中です。

そんな折に、ちょうど上記徒然草第139段を目にすることとなりました。

700年ほど前に兼好が抱いていた木や草花への思い … 参考になりますな。

 

今日は訪ねてくる人もなく、じっくりと読書ができました。(右上写真)

【徒然草】に囲まれて 2

【徒然草】島内裕子校訂・訳:ちくま学芸文庫

午後から〈吹雪でなく〉暴風雨。

プレハブに籠って【徒然草】を読み、今回もつれづれなるままに書くことに。

 

前回もお話しましたが、半世紀近く前に買った【徒然草】の文庫本〈旺文社文庫〉を読んでいるうちにページがばらけてしまいました。

ばらけたままでも読めないことはないのですが、それをするとますますばらけ、いずれは抜け落ちたページを紛失することになりかねません。

で、保管することにしました。

※ 線を引いたり付箋紙を貼ったりして読んだ本は、私にとって宝です。
再度、再三 … にわたって読むときに、真新しい本より ” 自分の本 ” の方がずっと読みやすく、また、内容も頭にすんなり入ってきます。

 

保管することに決めた時点で〈一昨日〉、新たに入手すべく近くの古本屋さんに行って【徒然草】を探しました。

【島内裕子校訂・訳 ちくま学芸文庫2019年9月発行】がありましたので、すぐに買いました。(右上写真)
〈以前と同じものがよかったのですが、ありませんでした。〉
〈あまりに古いものを買うと、またばらけてしまうかもしれませんな。現在、旺文社文庫ってあるのかな?〉

 

昨日、今日と、第44段までの『訳』及び『評』を読みました。

ホントにわかりやすい!

内容も確かめずに買ったのでしたが〈『ちくま』というだけで信用できますわな〉、大当たりでした。

島田氏の徹底的に嚙み砕いた『訳』もさることながら、『評』がまたいい。

研究の蓄積に裏打ちされ、しかも平明な文体なので、素人読者でも親しみを持って読めます。

おかげさまで読了しようという意欲満々です。

ありがとうございます。

【徒然草】に囲まれて

手元にある【徒然草】関連の本

30㎝ほどの積雪状態が続いて屋外作業ができず、ここ数日間プレハブに籠っています。

主に【徒然草】関連の本を読んでいます。

何で【徒然草】かって?

とくに理由はないのですが、強いて言うと、歳とともにご先祖様の魂に近づいていっているんでしょうな。

 

で、物置にあった【徒然草】に関する本を手元に揃えました。(右上写真)

① 【現代語訳対照 徒然草】安良岡康作訳注:旺文社文庫
② 【徒然草】西尾実・安良岡康作校注:岩波書店
③ 【永井路子の方丈記/徒然草】集英社
④ 【ヘタな人生論より徒然草】荻野文子著:河出書房新社
⑤ 【徒然草】島内裕子校訂・訳:ちくま学芸文庫
※ ①は若かりし頃新刊書店で買い、②~⑤は中年以降古本屋さんで買いました。

いつかじっくり読みたいと、買って置いてあったのです。

縁あってようやく読み始めました。

① 現代語訳、解説のみ読了。
本が古いので、読んでいる途中にばらけてしまいました。で、その替わりにと急遽⑤を〈古本屋さんで〉買ってきました。
② 力量不足ゆえ読むのが困難。
③ 読了。
④ 読了。
⑤ 現在読んでいる最中。〈訳だけですが〉

 

全部で243段 … 記録めいたことだけでなく、日常的な話題から、心理、教養、宗教、生き方など多岐に渡り広く深く書かれていますので、感想をと言われても、うまくまとめられないのが正直なところです。

ただ言えるのは、全文を読むと、学生時代に断片だけ齧ったのとは違い、兼好の人生に対する深い洞察がひしひしと伝わってくるということです。

700年ほど前に書かれたとは思われません。

現代でも通用するようなことがたくさん書かれています。

現代語訳を読むだけでもそのように伝わってくるのですから、原文で読むと、もっと強くリアルに伝わってくると思われます。

 

… 布団から顔を出し、②を読んでいるうちに眠りにつく …

そうありたいですな。