【はるかな本、遠い絵】を読む

【はるかな本、遠い絵】川本三郎著:角川選書

【はるかな本、遠い絵】川本三郎著:角川選書(右写真)を読み、印象に残った箇所を紹介します。

 


… 野口冨士男の作品をよく読むようになったのは十年ほど前、四十歳を過ぎ、自分ももう若くはない。これからは新しいものをいたずらに追うのではなく、自分の好みに合った仕事をゆっくりしたペースでやっていこう … … 。 P60


… … 本好きなら誰でも知っていることだが、名著、古典の類よりも、「どこにでもあるような本」ほど、あとになって探そうとすると手に入りにくいものだ。 … P114


… 「ぼくは系統だった郵便切手のコレクションはしていない。だいたい何によらずコレクションというやつは、人間を生意気にする傾向があるのでイヤなんだ」という言葉は、氏〈植草甚一〉の立場をよくあらわしている。雑学の好きな氏は何よりも「系統だった」ことを嫌う。そんなことは学者にまかせておけばいい。町の自由人は、キュオリオシティのおもむくままにキュリオ〈骨董品〉を探して歩く。寄り道、逸脱、途中下車、行きあたりばったり、そんな自由な楽しさにあふれている。 … P128

 

川本三郎を紹介するのは今回で5回目。

いつものことだけど、氏の著書を読むと落ち着きますな。

どうしてかって?

上記
① … 自分の好みに合った … ゆっくりしたペースで …
② … どこにでもあるような …
② … 自由な楽しさにあふれて …
という言葉からもわかるように、そのような雰囲気が氏の文章の至るところに漂っているからですわ。

しかも押しつけがましさがまったく感じられず、しぜんに伝わってきます。

 

書庫に氏の著書がまだ数冊あったはず … 楽しみです。

辻邦生 を読む

【人間が幸福であること】:海竜社〈左〉    【風雅集:世界文化社〉〈右〉        ともに著者は辻邦生

本の整理をそっちのけに本を読みましたわ。

辻邦生の書いたもので、【人間が幸福であること】:海竜社と【風雅集】:世界文化社(右写真)です。

とくに印象に残った箇所を両著書より一つずつ紹介します。

 

… 我々が現実のさまざまな体験により体験前とは別の人間になっていくように、本の中から出てくるときの人間はそこでの体験を通して別の人間になっていなければならないと思うのです。 … … そしてそういうときの本の中の意味は … … カフカが言っているように、本質的には精神的な苦痛、苛酷な鑿〈のみ〉を心にうちこんでくれるものでなければならないと思います。日常性の中で凝り固まった、あたかも固い氷に包まれたような我々の心を打ち砕いてくれる砕氷船の役目をしていなければならないのです。そのことにより我々は現在与えられている人間の条件を超えて、もっと広い可能性と意味あいをもって生きることができるのです。現実の世界に生きるのと同様に書物の中に生きることにより精神的現実を体験し、それに魂の底まで震撼されることで我々は蘇るのです。 …
【人間が幸福であること】
 P243~244

 

… 私は、小さな私的な主体を抜け出て、より深く大きな流れを作り出している自然や宇宙の根源の力、そういうものに合体したときに本当の詩が生まれるのではないか、とこの頃しみじみ感じます。芭蕉の『笈〈おい〉の小文〈こぶみ〉』の前文に「見る処〈ところ〉花にあらずという事なし。思う所月にあらずという事なし」という言葉があります。 … … つまり自分自身の存在そのものが既に花であり月である、そういう究極のあり方を言っているわけでしょう。 …
【風雅集】 P66

 

ここしばらくは活字から遠ざかった生活でした。

「この先、本を読むことなく暮らしていくのかな。」と思っていたほどでした。

 

書庫づくりのおかげで、久しぶりに活字に浸ることができました。

書庫には本がいっぱい … 感謝するのみですな。

金はないけど暇はある … 

本日視聴した【宮甚商店】の画面より

最近一番見ているユーチューブ番組はというと、【宮甚商店】のもの。

中古品屋さんで安価なチューナーやアンプなどのジャンク品を買ってきて、それらをリストアしたり、取り出した部品を利用したりして楽しい時間を過ごしているというような内容の番組です。

 

一週間ほど前に初めて知りました。

それ以後、毎日3~5本の番組〈1本の番組の長さは15分前後〉を視聴しています。

宮甚〈miyazin〉さん自身、ハム〈無線〉ができ、電気に関する知識も豊富なようです。

 

一方、私はというと、ハムは一度もしたことはなく、電気に関する知識もほとんどなし。

そんな者がどうして【宮甚商店】の番組に引かれる〈魅かれる〉のかって?

… 安価なジャンク品を買ってそれを創意工夫によって生きた物に変える。そしてそのことが無上の喜びの時間になっている。 …

現在の私の生き方に共通するところあり、ですな。

上記の ” ジャンク品 ” という言葉を ” 放棄地 ” という言葉に置き換えると、より分かりやすくなるかと思われます。

 

本日視聴した番組の一つのタイトルは、
『金はないけど暇はある。年金暮らしの電子工作。再生式ラジオをつくろう』
というものでした。(右上写真)

私の場合は、
金はないけど暇はある。年金暮らしの野良仕事。おいしい野菜や果物をつくろう』
となろうか。

【世界は経営でできている】を読む

【世界は経営でできている】岩尾俊兵著:講談社現代新書

【世界は経営でできている】岩尾俊兵著:講談社現代新書(右写真)を読み、印象に残った箇所を紹介します。

… 貧乏とは、お金、時間、知識、信頼といった資源の収入と支出のバランス〈均衡と調和〉が崩れた状態を指すと考えていいだろう。 … P25

… 「自分にとっての目的は何なのか」「いまやろうとしていることは本当にその目的の役に立つのか」を問い直す必要があるだろう。 … P145

… パソコン画面上の金融資産の含み益は、利益を確定させて現金を手にするまでは単なるまやかし/まぼろしに過ぎない。
慣れない投資が長期にわたって上手くいくほど世の中は甘くない。 … P151

… お金は使ってはじめて、製品やサービスと交換してはじめて、意味があるからだ。何にもお金を使わずに節約生活を続けて、ある日ぽっくり逝ってしまったらそれこそ一番の無駄遣いである。 … P152

… 他者と自己を同時に幸せにする価値創造でしか、個人にも集団にも恒久的に幸せは訪れない。  … P194

 

著者の岩尾俊兵氏は新進気鋭の経営学者〈慶應義塾大学准教授:平成元年生まれ〉である。

彼は、「本来の経営は、他者と自分を同時に幸せにするという究極の目的に向かってなされる営み」と言う。

若い頃、「企業は利益を生み出すマシーンだ」というようなことを聞いた。

その落差に驚いている。

 

… 他者と自分を同時に幸せにする … 

岩尾氏は研究に研究を重ねてそのような結論に至ったと思われるが、一般の日本人の中には、日々の暮らしを通してごくしぜんにそう考えるようになった人もいるのではないだろうか。

現実には自分のことで精一杯で、他人にまで十分に考えが及ばないことが多いが … 。 

漠然とした言い方になるけど、

… ていねいに生きていく … ってことかな。

みなさんはどう思っていらっしゃいますか

総務省統計局ホームページ〈7.19現在〉

あまりに暑いので、午後は屋外での作業を控えることにしました。

いくら ” 貧乏性 ” が頭をもたげるといっても、熱中症になってしまったら、元も子もないですからな。

※ ” 貧乏性 ” については、前回のブログ記事をご覧ください。

 

久しぶりに通帳を見て、最近のお金の出入りを確認しました。

※ 家計については主に妻がやり繰りしていますが、木立に関連するもの〈固定資産税、プレハブの電気代、農具代 … 等〉については、すべて私がやり繰りをしています。

 

で、昨年の6月と今年の6月を比較して、

・年金の手取り  …  2,4% ↑

・固定資産税   …  1,1% ↓
・電気代     … 16,1% ↑
・水道代     …  9,4% ↑
・ケータイ使用料 … 11,7% ↑

以上のことが、私の通帳を出入りしている金額からわかりました。

年金の上昇率に比べ、大半のものの上昇率がもっと高いということですな。

 

総務省統計局のホームページを見てみると、総合指数が、前年同月比で 2,8% ↑ となっていました。(右上写真)

総合指数は何を元に導き出された数字かはっきりわかりませんけど、私たちが感覚的に思っている物価高を表しているとするなら、本当か? と疑いたくなります。

 

はたして、みなさんはどう思っていらっしゃるのでしょうか。