【大不況には本を読む】橋本治著 を読む

【大不況には本を読む】橋本治著:中公新書ラクレ

【大不況には本を読む】橋本治著:中公新書ラクレ(右写真)を読み、印象に残ったくだりを紹介します。


… そもそも日本人には「どう生きるかなどという面倒なことを考えず、仕事という実際的な行為に集中していればよい」という傾向があるので、「人間のあり方」というような面倒な問題は、あっさりと排除されてしまいます。「どうすればいいのか?」でふらつく日本の哀しい現在は、そこに由来するのだろうと、私は考えるのです。 … P185


… 「18世紀の後半に起こった産業革命は、それまでの世界のあり方を変えてしまった。その新しくなった ” 世界秩序 ” が日本にやって来て、日本は150年前に開国した。でもその ” 150年 ” は、もう壁にぶつかってしまった。だから本を読んで、その ” 150年分 ” を考え直そう」
つまるところ、「近代の見直しをすべきだ」です。 … P209


… 「で、どんな本を読めばいいんですか?」 … … 残念ながら私〈橋本氏〉には、それに対する「答」の持ち合わせがありません。 …
P214


… どんな本でもいいから、とりあえずは片っ端から読んでみればいいのです。 … P229


… 過去に書かれた本を読み返しても、ロクなものは出て来ないかもしれません。しかし、それを明確に知るというのは、とても重要なことです。「自分たちの ” 壁にぶつかってしまうような現在 ” は、こんな甘い認識の上にのっかっていたのだな」ということが分かります。それは同時に「不問に付されていた自分のいい加減さを知る」ということでもあります。
逆に、「忘れられた本」の中に「とんでもなく重要な一節」を発見することだってあるかもしれません。「こんな重要なことが、なぜ埋もれさせられたままになっているのだろう?」と思うかもしれませんが、それこそが、「これからの時代を生きて行くための鍵」です。 …P230 

 

①について
まさに私がそうです。
かつては橋本氏のいう通り、「仕事という実際的な行為に集中していればよい」という人間でした。「どう生きるか?」までは、なかなか … 。
で、今は?
「どう生きるか?」については、以前より考えるようになったかな。
でも、「 ” 野良仕事 ” という実際的な行為に集中していればよい」という面もけっこうあるかも … 。

②~⑤について
実は、【大不況には本を読む】は最近読みました。
⑤の後段で橋本氏が述べているように、「こんな重要なことが、なぜ埋もれさせられたままになっているのだろう?」という感を強く抱きました。
物置には、学生時代からの本がまだ半分ほど残っています。
〈死ぬまでにできればもう一度読みたいなという本は残しました〉
生きる指針にしていきたいと思っています。

… 追伸 …
橋本氏は、一昨年に70歳でお亡くなりになったそうです。
心よりご冥福をお祈りいたします。

【一切なりゆき】樹木希林著 を読む

【一切なりゆき】樹木希林著:文藝春秋

【一切なりゆき】樹木希林著:文芸春秋(右写真)を読んで印象に残ったくだりを紹介します。


… お金や地位や名声もなくて、傍からは地味でつまらない人生に見えたとしても、本人が本当に好きなことができていて「ああ、幸せだなあ」と思っていれば、その人の人生はキラキラ輝いていますよ。 … P25


… 私がこういう取材を受けるメリットはどこにあるの? あなた方のメリットはわかるの。えっ、私の話で救われる人がいるって? それは依存症というものよ、あなた。自分で考えてよ。 … P62


「もっと、もっと」という気持ちをなくすのです。「こんなはずではなかった」「もっとこうなるべきだ」という思いを一切なくす。自分を俯瞰して、「今、こうしていられるのはたいへんありがたいことだ、本来ありえないことだ」と思うと、余分な要求がなくなり、すーっと楽になります。もちろん人との比較はしません。
 … P65


… 〈私の芝居の〉ゆとりはどういうところから出ているかと言いますと、不動産をひとつもっているからではないでしょうか。いつ仕事がダメになっても、家賃収入があるからいいや、と思ってやっているからだと思います。 … P132


… たとえ殺人犯の役であっても、なにかその人が生きるだけの道理があるわけですよ。それを上から目線でかわいそうな人だとか、残酷な人だとか思って演じるのではなくて、自分に重ねるように、すっと役に入っていく。自分をまったくなくして別人のように役に挑む人もいるけど、わたしはいつもそこに自分がいるのね。 … 186

 

①③ … 樹木希林氏が言うから納得できるんですな。

④ … 氏の家賃収入に相当するものは、退職者の場合、年金と考えてよいのかな。

⑤ … そう、自分に重ねて考えることが大切。

最後に②
耳が痛い! … 自分で考え、自立しないと … 。

ユーチューブに驚きました

〈ユーチューブ〉地鎮祭デモンストレーション より

明日、集落で平和祭が行われます。

※ 平和祭 … 集落では、例年この時期になると、日清戦争から太平洋戦争までに戦死なされた方を追悼する式典を執り行っています。
それを平和祭と呼んでいます。
28名の方が亡くなっており、それらの遺族の方をはじめ、集落各種団体の世話人が出席します。
遺族の方で出席なされるのは7~8名といったところでしょうか。

 

ここ3年〈今回は4年目〉、私が進行を務めています。
〈集落の世話係として〉

その内容は、

① 開式
② 修祓〈しゅうばつ or しゅうふつ〉
③ 献饌〈けんせん〉
④ 降神〈こうしん〉
⑤ 祝詞奏上〈のりとそうじょう〉
⑥ 祭司〈さいし〉
⑦ 玉
串奉奠〈たまぐしほうてん〉
⑧ 撤
饌〈てっせん〉
⑨ 昇神〈しょうしん〉
⑩ 閉式

です。

恥ずかしい話ですが、上記②~④及び⑧⑨を進行する段になると、神主さんの言葉や振る舞いがはっきり区別できないのです。

で、はっきり区別すべく、式典が始まる前に、神主さんに要のところで目配せをしてくださるようお願いしています。

明日もそのようにお願いするつもりです。

 

が、その一方で、 … いつまでもそんなんでは情けない … という気持ちもあります。

ユーチューブを覗いてみました。

驚きました。

ユーチューブって何でもありですな!(右上写真)

見た目を気にしないなら雨よけは

裂果状態のトマト

台風が過ぎ去ってから雨続き。

気温もだいぶ下がりました。

あの茹だるような暑さはどこへ行ったのでしょう。

予報では、梅雨末期のような天候が、まだ1週間ほど続くとのこと。

〈個人的には〉このまま秋になってほしいですな。

 

さて、台風が過ぎ去って以降、はじめてトマトを収穫しました。

50個ほど収穫したでしょうか。

そのうちの1/5が裂果状態でした。(右上写真)

【トマトの裂果】
… 裂果は根が一気に大量の水分を吸収したときに、実もその水分で急激に大きくなるんだけど、その時に皮の成長が追いつかないというのが原因なんだねえ。それで皮が割れてしまうんだよ。
特にしばらく天気が続いた後に、大雨が降ったりすると一気に実が割れてしまうんだねえ … … 。
〈ネット : ヒゲおやじの気まま流野菜づくり日記 より〉

 

… しばらく天気が続いた後に、大雨が降ったりすると … …

今回はまさにそれを地で行くような天候でした。

そして、図らずもトマトの裂果と天候の変化の因果関係を目の当たりにすることとなりました。

 

で、裂果したトマトを口に入れてみると、

味にまったく遜色はなく、むしろおいしいくらいです。

つい10個ほど立て続けに食べてしまいました。

集落では、ほとんどがトマトに雨よけを施しています。

が、見た目を気にしないならそうする必要もないのでは、

と思った次第です。

【そして、人生はつづく】川本三郎著 を読む

【そして、人生は続く】川本三郎著:平凡社

終日雨。

【そして、人生はつづく】川本三郎著:平凡社(右写真)を読み終わったところです。

印象に残ったくだりを紹介します。

 

… 自分の人生も限られていること。それまでに何が出来るのか。何をしたいのか。終わりを見据えて、逆算して生きてゆくことが大事になる。時間が限られてきているから、物事に優先順位をつけてゆかざるを得ない。 … P68

… 日本にやって来たキリスト教の宣教師は、「聖書」の「愛」をどう訳したらいいか苦労した。ようやく考えたのは「大切」だった。坂口安吾の「恋愛論」にそうある。 … P111

… 下町に生まれ育った大西さん〈写真家〉は徹底して東京の小さな町を撮り続けている。海外になどまず行かない。大自然や秘境とも無縁。町場のありふれた日常風景にカメラを向ける。身近な町を見続けることで普遍へ近づこうとする。 … … まず普通の人間なら汚いと無視してしまう風景のなかに、静かな寂しい美しさを見出してゆく。
… P208

… 書名〈そして、人生はつづく〉は、イラン映画、アッバス・キアロスタミ監督の「そして人生はつづく」に倣った。1990年、イラン北部を襲った大地震のあと、監督自身が大きな被害を受けた村を訪ねてゆくドキュメンタリー風作品。どんなに悲劇に遭ったとしても生き残った者は、昨日と同じように今日も生きてゆかなければならないという切実な思いがこの言葉にはこめられている。 … P278

… 頭の中にはともかく、暮らしのなかには修羅を持ちこまないこと。静かな生活を心がけること。 … P279

… ずっと元気に仕事をしていたいとは思う。同時に、あるところで隠棲したいとも思う。そんな時は、静かな小さな町に住みたい。
… P280

 

当ブログ記事で川本氏の著書を紹介するのは2度目。
〈1度目は、2019.2.11付[『半歩遅れの読書術』が川本三郎氏にも] にて〉

氏の文章では、 ” 静かな ” という言葉がよく散見されます。

散見されるだけでなく、文章全体に ” 静かな雰囲気 ” が漂っています。

で、読んでいるこちらの方も、” 静かな気持ち ” になってきます。

氏同様、私も静かな生活を心がけていきたいと思っています。