【無名の人生:渡辺京二著】を読む

【無名の人生】渡辺京二著:文藝春秋

終日雨でした。

【無名の人生】渡辺京二著:文藝春秋(右写真)を読んで印象に残ったくだりを紹介します。

… 人間の一生には幸福も不幸もあるけれど、その評価は、自分で一生を総括してどう考えるかの問題だということになります。他人が判断できることではありません。幸福度を客観的に測る基準などないからです。 … P71

… もう少し漢文をやっておけば、もう少しましな文章が書けたろうにと悔やまれます。
こうした表現力の劣化、幼稚化をいかにして食い止めるか。それが、今後の課題となるでしょう。なぜなら、人間というのは言葉の動物ですから。言葉の能力が落ちると、日本語の文化も、個人の人生も貧しくなってしまうからです。 … P139

… われわれは、みな旅人であり、この地球は旅宿〈りょしゅく〉です。われわれはみな、地球に一時滞在することを許された旅人であることにおいて、平等なのです。 … P172

… 人間、ことさら死生観を持たなくても、生きるときは生き、死ぬときは死ぬのです。そうなるまで精一杯努めればいい。ばたぐらうもよし、わがままを発揮するもよし、人によって様々なのが人生の面白さでしょう。 … P182~183
『ばたぐらう』 … 暴れたりもがいたりする〈熊本の方言〉

 

歳とともに ” 人生 ” ” 死 ” を意識することが多くなりました。

で、渡辺氏の著書【無名の人生】読みました。

コチコチになって構えることもないんだなと、気持ちが和らぎました。

ただ、P139のくだり〈上記〉の
… 言葉の能力が落ちると、 … … 個人の人生も貧しくなってしまう … … の箇所が気になりました。

死ぬまで勉強ですね。

【淋しいアメリカ人:桐島洋子著】を読む

【淋しいアメリカ人】桐島洋子著:文藝春秋

【淋しいアメリカ人】桐島洋子著:文藝春秋(右写真)を読んで、印象に残ったくだりを紹介します。

… 空気の汚染も老醜の促進に無関係ではないだろう。しかし、より強烈な作用で人間を蝕むのは、無関心という毒であるように思われる。 … P107

… 労力や時間の節約もさることながら、テレビの貢献度がもっとも大きいのは思考力と想像力の節約である。思考力も想像力も節約すれば節約するほど退化するものだから、人々にはもうその危険に気づくほどの思考力も想像力も残っていない。 … P151

… 無内容はなにも今に始まったことではないし、また、アメリカだけのことでもないが、物質文明の最先進国としてこれまでにない人間の自由を獲得したために、その自由の使い道を知らない貧しさを、にわかに露呈することになったのだろう。 … … 無内容な人間は救いようもなく薄っぺらに透き通る。 … P153~154

… 車はまさしくアメリカ人の自由の象徴である。そして車はまたアメリカ人の不自由な象徴でもある。身動きのならないラッシュ時のフリー・ウェイ、交通事故による人間の損傷、排気ガスの公害、月賦と維持修理費とガソリン代に追われる家計 … … 。 P168

 

【淋しいアメリカ人】は、著者〈桐島氏〉が、アメリカで見聞きしたことをまとめた本である。

… 50年ほど前に …

氏は、あとがきで「偏見にみちた個人的印象記」と言っているが、

偏見どころか、むしろ普遍性があるようにさえ感じらる。

上記のくだりは、今では、アメリカだけでなく、その他の国にも当てはまると思われる。

私もその他の国に住んでいる一人で、例外ではない。

【西行花伝:辻邦生著】を読む

【西行花伝】辻邦生著:新潮社〈菊版〉

【西行花伝】辻邦生著:新潮社〈菊版〉(右写真)を読んで印象に残ったくだりを紹介します。

① … … 運命が変わらなければ、新院はもはや何もお信じにはならないだろう。だが、運命は変わらない。変えられない。そのことを徹底して考えぬくほかはない。寂然、これは他人の問題ではない。われわれの問題でもあるのだから … … … 浮世の宿命は窮め難く、誰にも変えることはできない。だからこそ、歌によって、その宿命の意味を明らかにし、宿命から解き放たれ、宿命の上を鷲のように自在に舞うのだ。 … P391

② … 実は、師西行の本当の姿を知っていただきたかったのです。花鳥風月に物狂って現世の美酒に酔うのは素晴らしいことです。しかし都大路に行き倒れの男女の死骸が異臭を放ち、百姓が田畑を棄てて逃散するような時世に、自分ひとりが花に酔い、月を愛でても、それは一体何なりましょう。すくなくとも師西行はその道を取りませんでした。 … P514

 

【西行花伝】は、大部の著作で、印象に残ったくだりは、たくさんありました。

でも、今回は2つに絞り、それらについて思いを述べます。

上記①のくだりについて
定年退職してからやがて3年になろうとしています。
おかげさまで、毎日楽しく過ごしています。
が、その一方で、時間に余裕ができた分、自分に向き合うことも多くなりました。
今までの経験の中で、失敗したことなどもよく思い出します。
「あのとき、ああすればもっとよかったのに … 。」というふうに。
猛省しようが後悔しようが、どうしようもありません。
が、今回、辻氏の著書の中の上記①のくだりで、
… 考え抜き、その意味を明らかにし、解き放たれ、自在になる …
ことを知り、気持ちが少し和らぎました。

上記②のくだりについて
前回のブログ記事でもお伝えしたように、
レコードやBDに関心が向かないのは、実は、
上記②のくだりにある
自分ひとりが ……しても、それは一体何になりましょう
とよく似た思いが、私の胸の内にもあるのです。
あれだけ好きだった釣りに行かないのも、同じ思いからです。
レコード、BD、釣り等に対して漠然と抱いていた私の思いが、辻氏の著書を読むことによってはっきりしました。

草庵で文に親しんで一日を過ごすつもりが

ちょうどおもしろいところを読んでいると、町会長さんが …

プレハブを揺するほどの強い北風。

時折舞い散る小雪。

最高気温は6℃とのこと。

冬へ逆戻りです。

風邪が完治していなく、今日は一日、プレハブ内で読書をするつもりでいました。

※ おかげさまで、何が無くても、今のところ、自由になる時間と薪だけはふんだんにあります。
〈ありがたいことです!〉

 

ここしばらくは西行関連の本を読んでいるのですが、 ” 草庵 ” という言葉がよく出てきます。
〈【草庵】:草ぶきのいおり。粗末な家 … 広辞苑第六版より〉

そのたびに、

「当時の ” 草庵 ” は、さしずめ今自分がいる ” 中古のプレハブ ” になるのかな」

と、思ってしまうのです。

まるで、” 出家者気分 ” です。

そして、今日もそのような気分に浸りながら、【西行花伝〈菊版〉:辻邦生著】を読んでいました。

P390~391で、これはと思う箇所に赤線を引きながら一人悦に入っていると(右上写真) … 、

「おはようございます。 … 〇〇さん、おるかねー 。」

という元気な声と同時に、プレハブのドアーが開けられました。

「この町会費納入通知を至急訂正してほしいんだけどー … … 。」

と、いうことでした。

草庵で文に親しんで一日を過ごすつもりが … 。

納入通知の訂正が終わったのは、午後2時過ぎでした。

思うようにいきませんな。

集落のみなさんへの放送だいじょうぶかな

カルピスソーダを飲みながらのユーチューブ、おもしろかったです。

昨日、一昨日の屋外作業〈サツマイモ畑づくり〉で風邪をひいたようです。

薄着で気温の下がる夕方近くまで作業をしていたのが原因かな。

昨夕より、食後に市販の風邪薬を飲んでいるのですが、体調が今一つです。

… 関節が痛く、悪寒がする …

間違いなく風邪の症状です。
〈久しぶりです〉

体というのは正直なもので、今日は、雨が降っていないにもかかわらず、外に出て作業をしようという意欲が湧きませんでした。

で、プレハブ内で読書をはじめると、しばらくして眠ってしまいました。
〈風邪薬には睡眠作用を促すものが入っているのでしょうね〉

30分ほど眠っていたでしょうか、目が覚めました。

で、本の続きを読んでいるうちに、また、眠ってしまいました。

目が覚めたとき、喉がカラカラでした。

冷やしたカルピスソーダがありましたので、それを飲みながら、今度は、ユーチューブを見ました。(右上写真)
〈体調がよくないときは、あまり頭を使わないようなものがいいですね〉

『江戸時代から明治時代に変わるころの写真映像』
『ノアの箱舟は真実か架空か?』
を見たのですが、とてもおもしろかったです。

 

あっ、今晩、集落の行事を〈コロナウィルスのため〉中止する旨、放送するのでした。

風邪気味で声が涸れているのにだいじょうぶかな?

やるしかないですね。