【西行花伝:辻邦生著】を読む

【西行花伝】辻邦生著:新潮社〈菊版〉

【西行花伝】辻邦生著:新潮社〈菊版〉(右写真)を読んで印象に残ったくだりを紹介します。

① … … 運命が変わらなければ、新院はもはや何もお信じにはならないだろう。だが、運命は変わらない。変えられない。そのことを徹底して考えぬくほかはない。寂然、これは他人の問題ではない。われわれの問題でもあるのだから … … … 浮世の宿命は窮め難く、誰にも変えることはできない。だからこそ、歌によって、その宿命の意味を明らかにし、宿命から解き放たれ、宿命の上を鷲のように自在に舞うのだ。 … P391

② … 実は、師西行の本当の姿を知っていただきたかったのです。花鳥風月に物狂って現世の美酒に酔うのは素晴らしいことです。しかし都大路に行き倒れの男女の死骸が異臭を放ち、百姓が田畑を棄てて逃散するような時世に、自分ひとりが花に酔い、月を愛でても、それは一体何なりましょう。すくなくとも師西行はその道を取りませんでした。 … P514

 

【西行花伝】は、大部の著作で、印象に残ったくだりは、たくさんありました。

でも、今回は2つに絞り、それらについて思いを述べます。

上記①のくだりについて
定年退職してからやがて3年になろうとしています。
おかげさまで、毎日楽しく過ごしています。
が、その一方で、時間に余裕ができた分、自分に向き合うことも多くなりました。
今までの経験の中で、失敗したことなどもよく思い出します。
「あのとき、ああすればもっとよかったのに … 。」というふうに。
猛省しようが後悔しようが、どうしようもありません。
が、今回、辻氏の著書の中の上記①のくだりで、
… 考え抜き、その意味を明らかにし、解き放たれ、自在になる …
ことを知り、気持ちが少し和らぎました。

上記②のくだりについて
前回のブログ記事でもお伝えしたように、
レコードやBDに関心が向かないのは、実は、
上記②のくだりにある
自分ひとりが ……しても、それは一体何になりましょう
とよく似た思いが、私の胸の内にもあるのです。
あれだけ好きだった釣りに行かないのも、同じ思いからです。
レコード、BD、釣り等に対して漠然と抱いていた私の思いが、辻氏の著書を読むことによってはっきりしました。

草庵で文に親しんで一日を過ごすつもりが

ちょうどおもしろいところを読んでいると、町会長さんが …

プレハブを揺するほどの強い北風。

時折舞い散る小雪。

最高気温は6℃とのこと。

冬へ逆戻りです。

風邪が完治していなく、今日は一日、プレハブ内で読書をするつもりでいました。

※ おかげさまで、何が無くても、今のところ、自由になる時間と薪だけはふんだんにあります。
〈ありがたいことです!〉

 

ここしばらくは西行関連の本を読んでいるのですが、 ” 草庵 ” という言葉がよく出てきます。
〈【草庵】:草ぶきのいおり。粗末な家 … 広辞苑第六版より〉

そのたびに、

「当時の ” 草庵 ” は、さしずめ今自分がいる ” 中古のプレハブ ” になるのかな」

と、思ってしまうのです。

まるで、” 出家者気分 ” です。

そして、今日もそのような気分に浸りながら、【西行花伝〈菊版〉:辻邦生著】を読んでいました。

P390~391で、これはと思う箇所に赤線を引きながら一人悦に入っていると(右上写真) … 、

「おはようございます。 … 〇〇さん、おるかねー 。」

という元気な声と同時に、プレハブのドアーが開けられました。

「この町会費納入通知を至急訂正してほしいんだけどー … … 。」

と、いうことでした。

草庵で文に親しんで一日を過ごすつもりが … 。

納入通知の訂正が終わったのは、午後2時過ぎでした。

思うようにいきませんな。

集落のみなさんへの放送だいじょうぶかな

カルピスソーダを飲みながらのユーチューブ、おもしろかったです。

昨日、一昨日の屋外作業〈サツマイモ畑づくり〉で風邪をひいたようです。

薄着で気温の下がる夕方近くまで作業をしていたのが原因かな。

昨夕より、食後に市販の風邪薬を飲んでいるのですが、体調が今一つです。

… 関節が痛く、悪寒がする …

間違いなく風邪の症状です。
〈久しぶりです〉

体というのは正直なもので、今日は、雨が降っていないにもかかわらず、外に出て作業をしようという意欲が湧きませんでした。

で、プレハブ内で読書をはじめると、しばらくして眠ってしまいました。
〈風邪薬には睡眠作用を促すものが入っているのでしょうね〉

30分ほど眠っていたでしょうか、目が覚めました。

で、本の続きを読んでいるうちに、また、眠ってしまいました。

目が覚めたとき、喉がカラカラでした。

冷やしたカルピスソーダがありましたので、それを飲みながら、今度は、ユーチューブを見ました。(右上写真)
〈体調がよくないときは、あまり頭を使わないようなものがいいですね〉

『江戸時代から明治時代に変わるころの写真映像』
『ノアの箱舟は真実か架空か?』
を見たのですが、とてもおもしろかったです。

 

あっ、今晩、集落の行事を〈コロナウィルスのため〉中止する旨、放送するのでした。

風邪気味で声が涸れているのにだいじょうぶかな?

やるしかないですね。

【方丈記】にあやかり怠惰な自分を正当化

古本屋さんで2冊で570円でした

終日雨模様。

… ブログ記事投稿後はずっと読書を … と思っていたのですが、午前中で集中力が途切れてしまいました。

※ 昨日、一日中動き回ったので、その疲れかな?

 

で、昼食後、2週間ぶりに古本屋さんに行ってきました。

30分ほどいたでしょうか、

月刊誌【歴史街道】令和元年6月号:PHP と
【熊野古道を歩く】文学歴史ー12:JTB を買いました。

2冊合わせて570円でした。〈汚れはほとんどななし〉(右上写真)

先日より西行関連の本を読み始め、現在は【西行花伝:辻邦生著】を読んでいるのですが、

” 摂関政治 ” ” 院政 ” ” 熊野詣 ” 等についての知識がないと読み深めることができません。

折りよく、それらに関する本がありました。

帰って来て、まず、【歴史街道:令和元年6月号】のページをめくっていると、次のくだりに目が留まりました。

… もし念仏を唱えるのがめんどうだと思う日があれば、怠けてしまえばよい。怠けたからといって、誰に迷惑をかけるでなし。やりたくないことを無理にやるのは、結局は、精神的に毒だ … P70
※ 方丈記のあるくだりを長尾剛氏〈作家〉が解釈したものです。

… 西行花伝を読み深めるつもりが、いつの間にか方丈記に …

それも自分に都合のいいくだりに。

方丈記にあやかり、怠惰な自分をつい正当化してしまいました。

【白道:瀬戸内寂聴著】を読む

【白道】瀬戸内寂聴著:講談社

【白道】瀬戸内寂聴著:講談社(右写真)を読み終え、印象に残ったくだりを紹介します。

… すべてをなげうち、捨てても、捨てても、最後まで捨てることが出来ず西行に残った煩悩が、歌への執着であり、仏の真の救いを得たいという悲願であった。歌への執着と、仏道をきわめたいという悲願の執着とが、七十二歳の西行の中では、ついにひとつにとけあってしまい、はじめて自分の歌の中に秘密の真言と摩訶不思議の仏の妙智力を感得したのではあるまいか。それが西行の悟りでなくて何であろう。
… P125~126

… 孤独な庵の生活の中では自然の推移を見つめる眼でわが心の中と自分自身の姿を凝視するしかない。自然が刻々に移り変わっていくように、自分の老いも絶え間なく自分を蝕んでいる。
… P176

… それでも人は誰でもこの世の快楽に執着し、その日食べられぬ貧しい人々でさえ、一日でも半日でもこの苦しい娑婆にしがみついて生きのびたいと思う。あらゆる宗祖が死を見つめよと教え、この世のはかなさをつきつけ、死の淵に立っている足許のもろさを指さしても、人々の目は死をかかえこんだ自分の肉体を信じようとはしなかった。
… P210

… 思えば、七十年の生涯、一筋に追い求めてきたものは外でもない。世界にただひとつのわが心、わが思いの真実であったのだ。捕えたと思った瞬間、するりと指からすべり抜けているわが思い、わが心の実体は、終に自分にはわからぬまま終わりそうな気がする。 … … 七十年生きて、わが心ひとつがついに捕えきれないということを、わが心がようやく悟った。それが自分が歌に賭けた答えだったのだ。
… P357

 

著者〈瀬戸内氏〉自身の身に照らし合わせて書かれているのでは?

で、紹介した〈上記の〉くだりにしても、西行や宗祖を通して氏の思いが語られているようにも読めました。

… 七十年生きて、わが心ひとつがついにとらえきれない …

これは西行もそうだったし、瀬戸内氏もそうだったし、

私〈現在63歳〉がその歳まで生きていても、そうだろうと思います。

でも、そのとらえどころのない心を何とかしたくて、みなさん行動に移されるんでしょうね。

西行は出家をして、歌を詠みました。

瀬戸内氏も出家をして、本をお書きにまりました。

〈たいへんおこがましいのですが〉
私は、木立で無所属の時間を過ごして、ブログ記事を書いています。