【星の王子さま:サン=テグジュペリ作】を読む

【星の王子さま】サン=テグジュペリ作・内藤濯訳:岩波書店 140P 23㎝

【星の王子さま】サン=テグジュペリ作・内藤濯訳:岩波新書 140P 23㎝(右写真)より、印象に残ったくだりを紹介します。

… ぼくたちには、ものそのもの、ことそのことが、たいせつですから、もちろん、番号なんか、どうでもいいのです。 … P22

… 他人を裁判するより、自分を裁判するほが、はるかに困難じゃ。 … P53

… 心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。かんじんなことは、目に見えないんだよ … … あんたが、あんたのバラの花をとてもたいせつに思ってるのはね、そのバラの花のために、ひまつぶししたからだよ … P99

… ぼくがもし、53分っていう時間、すきに使えるんだったら、どこかの泉の方へ、ゆっくり歩いてゆくんだがなあ …P102

… 砂漠が美しいのは、どこかに井戸をかくしているからだよ…… … … そうだよ、家でも星でも砂漠でも、その美しいところは、目に見えないのさ … P105

… きみの住んでるとこの人たちったら、おなじ一つの庭で、バラの花を5千も作ってるけど、……自分たちがなにがほしいのか、わからずにいるんだ … P109~110

・人の住んでいるところから千マイルもはなれた砂漠の真ん中にいる不時着機の操縦士と星の王子さま
・職からはなれた環境に身を置いている私

お互い孤独感漂う空気を吸っているようで、
〈おこがましく、おまけにこじつけかな?〉

以前より、【星の王子さま】がわかったような気になっています。

読んだのは今回で3度目です。

あと何回読めばほんとうにわかるのでしょうね。

買うのはいいけどいつまで読めるかな?

今日古本屋さんで買った3冊の本です

昼食後、気分転換を兼ねて15㎞ほど離れている古本屋さんに行きました。

5年ほど行ってなかったでしょうか、久しぶりでした。
〈いつも行っている古本屋さんは5㎞ほどの距離にあります〉

でも、店内に入ると、主の様子といい、本の並べ方といい、以前とほとんど変わらない雰囲気でした。

平日の昼ということもあり、お客は私一人でした。
〈無所属の時間を過ごしている者の特権ですね〉

5年間も行っていなかったということになると、これも、あれもという具合に、欲しい本がたくさん出てくるものです。

で、これはと思う本を順に手に取って見ていきました。

いつまでたっても帳場に現れなかったせいか、主が本の整頓にかこつけて、私の様子を窺っていたような幕もありました。
〈もっと紳士然としないと〉

結局
・【ゴードン・スミスのニッポン仰天日記】荒俣宏 翻訳・解説:小学館
・【秘花】瀬戸内寂聴著:新潮社
・【西行花伝】辻邦生著:新潮社
の3冊(右上写真)を買いました。
〈いずれも単行本 … 文庫本は字が小さくて読みづらい〉

定価で買うと9,000円を超えるところですが、1,960円で買いました。
〈金欠病の私が言うのもなんですが、安い!〉

箱入り、帯付き、そして、3冊ともほとんど汚れはありません。

あとは、いつまで … 読む気力と体力が続くか … です。

【生きがいについて:神谷美恵子著】を読む

【生きがいについて】神谷美恵子著:みすず書房

昨日、今日と【生きがいについて】神谷美恵子著:みすず書房(右写真)を読みました。

印象に残ったくだりを紹介します。

① … 〈生きがいの特徴〉第1の明白な点は、生きがいというものがひとに「生きがい感」をあたえるもの … … 。 第2の特徴は、 … … 実利実益とは必ずしも関係がない … … 。 第3に … … 「やりたいからやる」 … … 。 第4に … … 個性的なもの … … 。借りものやひとまねでは生きがいたりえない。それぞれのひとの内奥にあるほんとうの自分にぴったりしたもの … … 第5に、生きがいはそれを持つひとの心にひとつの価値体系をつくる性質を持っている。 … … 第6に … … そのひと独自の心の世界をつくる。 … … P81~83

② … 生活のために働いていなければ人間としての値打ちがないということならば、世のなかには、ほかにも同列のひとがたくさんいるはずであるが、彼らはみな価値がないことになるのであろうか。
こういうものの考えかたの根底には、人間の価値は経済力によってきまる、という価値判断がある。 … P166

③ … 私たちは幸か不幸か現世のなかで自分の居どころをあたえられ、毎日のつとめや責任を負わされ、ひとや物事から一応必要とされて忙しく暮しており、そのおかげでこの虚無を、この「空」をなんとか浅くまぎらしている。どうして私たちではなく、彼ら〈長島愛生園のらいのひとたち〉が、何一つまぎらすものもなく、はだかのままで毎日この恐ろしい虚無と顔をつきあわせていなくてはならないのであろうか。
この問いに答はないのであった。答のないことを自覚する者は、自己陶酔に安住することを許されず、この虚無を克服するすべを、社会のありかたのなかにも、毎日の生活のいとなみかたのなかにも、心の持ちかたについても、探求しつづけなくてはならない。 … P279

【感想】
①について
「生きがいの特徴」について、細かく具体的に説明されていましたので、よくわかりました。
②について
定年退職後、稼ぎのない自分に価値がないのではないかと思ったことがありました。
著者〈神谷氏〉の文章で癒されました。
と同時に、自分が抱いていた価値判断に気づかされ、至らなさを感じました。
③について
長島愛生園のらいのひとたちだけでなく、〈自分も含めて〉職を離れたひとたちにも当てはまることではないでしょうか。
” 答えはない ” 故に ” 探求しつづけなければならない ”
おっしゃる通りだと思います。
私の探求している姿につきましては、
今後も、本ブログで、お伝えしていきたいと思っています。

【「生きる」という贅沢:淀川長治著】を読む

【「生きる」という贅沢】淀川長治著:日本経済新聞社

5日連続の雨天で、またまた今日も読書 … 、

【「生きる」という贅沢】淀川長治著:日本経済新聞社(右写真)を読みました。

印象に残ったくだりを紹介します。

… 私は家には内緒で、東京の「映画世界」編集部ではたらいていた。よくはたらいた、と言うより、とてもうれしがってはたらいた。右も映画、左も映画、はたらいていることすべてが映画だった。こんな幸福なことはないと毎日が感激だった。 … P69

… 毎日のように映画を編集室で語り合えることがうれしかった。誰ひとり夜6時ごろかえる者はなく、8時、9時まで遊んでいるかのような楽しい仕事だった。 … P70

… 私ひとりで両親をみるという苦しさ。それなのに映画会社につとめていることで極楽がいっしょにある思い、それも80パアセントが極楽くらいの楽しさ。 … P99

… もう私も89歳が目のまえに迫ってきた。 … … 思えばテレビというものが生まれ、私でさえもひっぱり出されて「ララミー牧場」、つづいて「日曜洋画劇場」をお受け持ちし、「日曜洋画劇場」はもうこれで30年をこえている。それなのに今夜録画(撮影)するという日は気がひきしまり、心配だ。しかしこれが老いをふせぐのかもしれぬ。 … P165

… … 月ばかりでない。きらめく星も、そして夜が明けて真赤な火のかたまりのように昇ってくる太陽も「あーッ、きれい」と見とれてしまう。生きていてよかった。この胸ドキドキ出来る嬉しさの持てることは! … P200

 

40数年前、日曜洋画劇場をよく見ていました。

そのときに、著者〈淀川氏〉が、わかりやすく、しかもおもしろく映画解説をなされていたのを思い出します。

今回、氏の本を読み、

『好きこそ物の上手なれ』を地で行った人なんだと、改めて思いました。

また、本のタイトルも、氏の人生観そのものと感じました。

読んだこちらの方も、なんだか嬉しくなりました。

では、

… サヨナラ,サヨナラ,サヨナラ …

【「閑」のある生き方:中野孝次著】を読む

【「閑」のある生き方】中野孝次著:新潮文庫

4日連続の雨天で、今日も読書 … 、

【「閑」のある生活】中野孝次著:新潮文庫(右写真)を読みました。

印象に残ったくだりを紹介します。

… 心を空〈から〉にして、鳥が鳴いたら鳥の声に耳をすまし、風が吹いたら風の行方を見る。そういうお金で買えない大きな世界がこの世にはある。 … P45

… そういう人口刺激物〈テレビ、ラジオ、パソコン、ケータイなど〉と四六時中かかわっていては、人は到底心の声、自然の声を聴くことができないと、君は知るべきだ。それなしでは心が空虚で、空虚な自分と向き合うのがこわさにすぐまたそれに戻るのだろうけれども、そんなことをしていては人は一生涯自分というものを受け入れることがないだろう。 … P74~75

… 僕は今年78歳になった。いかに平均寿命とやらが上がった現代でも、これはかなりの老齢といっていいだろうが、その長い一生を思い返してみて、ほんとうにいま自分のものとして残っているのは、若い時から好きで、これに生涯をかけようと思ったものだけであることに気づく。他のことは全部消滅した。 … P110

… 僕は年をとってからは新刊書はほとんど読まず、何よりも古今東西の定評ある古典が面白くなってそればかり読んでいる。あれやこれやに手をのばすより、ごく僅かの本を何度も徹底して読む方が、読書内容も濃く、言葉が心の中に根づく。自分の体験からこのことは自信をもって言える。 … P112

… 老子は「道〈タオ〉」といい、セネカは「自然」といい、趙州〈唐の禅僧〉や大梅〈唐の禅僧〉は「仏」といい、エピクテートスは「神」といい、名付け方は人それぞれにちがうが、永遠なる命を指すことでは同じだ。 … P141

… 人間が生きること、いかにしたらよく生きるかについて、また宇宙自然のこと、全世界の人間の営みのこと、社会のことについて、人が物事の根本から考えるのに一番役に立つのは読書だと僕は断言できる。 … P194

本書は、著者が最期を迎える直前に書かれたものです。

著者はそのことを予期していたのか定かではありませんが、文章の至るところ心に迫ってくるものが感じられました。

で、私は、読者への遺言とも受け取りました。