
仕事をする上で、仕事に関係するみなさんの顔と名前を覚えることは、基本中の基本です。
退職後、私が日々相手にしているのは主に花鳥風月です。
残念ながら花鳥風月それぞれの顔と名前がほとんどわかりません。
そんことでは花鳥風月との関係がうまくいかないのでは、と心配でした。
そんな折、秋山豊寛氏の書かれた農人日記(のうじんにっき)【新潮社】を読みました。
P.4に次のようにあります。
… この日記は、謂ゆる田舎暮らしにかかわる人間関係というか、農村社会の現状の記録というよりも、商品作物として栽培を始めた椎茸を含めて、稲、麦、蕎麦、雑穀を始め各種野菜や天候、野生動物の活動などについてのメモが中心になりました …
椎茸をはじめ稲や各種野菜、野生動物など、それらの特徴や生態について具体的にとてもわかりやすく書かれています。
秋山氏が植物や動物などを深く理解し、それらに真剣に関わっていこうという姿勢がひしひしと伝わってきます。
とくに植物や動物など、それら一つ一つを個別の名前でていねいに呼んでいるところに感じます。
氏の日記にざっと目を通しても、
… 薊(あざみ)、葛、夏ツバキ、辛夷(こぶし)、海棠(かいどう)、花梨(かりん)、満作(まんさく)、水木、オイカワ、落葉松(カラマツ)、欅(ケヤキ)、柏、ナラ、頬白(ほおじろ)、鶺鴒(セキレイ)、ヘビトンボ、トビゲラ、 … 等々
があげられます。
単に ” 花 ” ” 木 ” ” 鳥 ” ではないのです。
私の目下の相手は、花鳥風月です。顔と名前を覚えて良好な関係を保っていきたいと思っています。