【花のある暮らし:國吉和子著 鶴書院(右下写真) を読みました。
… … わたしは、マーガレットを明るい日陰へ運んでいった。やさしくたっぷりとシャワーをかけた。そのまま、其処の月桂樹の木の下に置いた。花が自力で息を吹き返しほっとけば自然に育つという自信があった。わたしは、そのぐらいの花の「目利き」なのだ。 … P27
… シェルターに移されたシャコバサボテンの葉は、夏の暑さで紙のように薄くかさかさして白くなってしまい蘇生すらも危ぶまれた。それでも生きているシャコバサボテンは捨てられない … 。 … いまだ、シャコバサボテンの薄い色のピンクの花は、今にもどこかへ旅立ちそうな鳥の形をして咲き誇っている。 … P85~86
… 種から生えた私のペチュニアを次の年も咲かせる。想いをめぐらすだけで有頂天になる。来る年の初夏を夢見ながら切り取った挿し穂を木酢をたらした水に浸して、慎重に鉢の上に挿した。 … P161
著者の花への想いが、簡潔な文章の中に凝縮されています。
単にきれいな花を買ってきて飾るのではありません。
むしろ弱って今にも枯れてしまいそうな花を入手し、それを的確な世話とたっぷりな愛情をもって蘇らせた話が多く書かれています。
このことは、著者の父親が品種改良に携わる仕事をしていたことも大いに関係していると思われます。
また、花を愛でる以上に著者の父親、母親等への強い想いが伝わってくる本です。